○あさぎり町田んぼダム協力支援事業実施要綱
令和3年12月13日
告示第68号
(趣旨)
第1条 この要綱は、熊本県が実施する「田んぼダム実証実験事業」により効果検証を行うにあたり、「田んぼダム実験事業」のモデル地区へ参画する農業者に対して、農業者の水稲作付けに対する不安を払拭することで、「田んぼダム」の円滑な導入推進を図る。
(1) 田んぼダム 熊本県が実施する「田んぼダム実験事業」に協力するほ場をいう。
(2) 農業保険制度 農業保険法(昭和22年法律第185号。以下「法」という。)第97条の規定による共済事業及び法第175条の規定による農業経営収入保険事業をいう。
(3) 農作物共済 法第98条第1号の規定による事業をいう。
(4) 収入保険 法第175条の規定による事業をいう。
(5) 全相殺方式 農業保険法施行規則(平成29年農林水産省令第63号。以下「施行規則」という。)第87条第1号の規定による。
(6) 半相殺方式 施行規則第87条第2号の規定による。
(事業の内容)
第3条 事業の内容は、次のとおりとする。
(1) 田んぼダム協力支援金事業
田んぼダムに協力する農業者が、第4条第1号の農業保険制度に加入している場合に、田んぼダムモデル地区内の水稲作付面積に応じて助成する事業
(2) 田んぼダム協力農家収入補てん事業
田んぼダム協力支援金事業の助成対象者が、田んぼダムを実施したことにより、当該年の水稲の収穫量が基準収穫量の9割以下となった場合、田んぼダムモデル地区内の水稲作付面積に応じて、農業保険制度で補償できない自己責任部分相当額(1割)を補てんする事業
(助成金の交付対象者)
第4条 各事業の助成金は、次の要件に該当する農業者に対して、田んぼダムモデル地区内の水稲作付面積に応じて助成する。
(1) 田んぼダム協力支援金事業
次に掲げるいずれかの農業保険制度に加入していること。
ア 農作物共済(水稲)全相殺方式の9割補償に加入している農業者
ただし、農作物共済(水稲)全相殺方式に加入できない農業者においては、農作物共済(水稲)半相殺方式の8割補償に加入している農業者(熊本県農業共済組合の証明が必要)
イ 収入保険の90%補償に加入している農業者
ただし、青色申告書の提出年数が3年未満のため、収入保険の90%補償に加入できない農業者においては、次の補償に加入している農業者
青色申告書の提出年数が3年の場合 収入保険88パーセント補償に加入
青色申告書の提出年数が2年の場合 収入保険85パーセント補償に加入
青色申告書の提出年数が1年の場合 収入保険80パーセント補償に加入
(2) 田んぼダム協力農家収入補てん事業
次に掲げる要件を、すべて満たすこと。
ア 田んぼダム協力支援事業の支給対象者であること。
イ 町長が、田んぼダムモデル地区ほ場において、水深25cm以上で24時間以上の湛水を確認した場合
ウ 田んぼダムモデル地区ほ場において、上記イが原因で当該年の収穫量が基準収穫量の9割以下であること。
ただし、当該年の収穫量が基準収穫量の9割以下であることの判断は、別記1により判断する。
(助成金額)
第5条 各事業の助成金の額は、次のとおりとする。(耕地ごとの面積に0.1アール未満の端数があるときは、四捨五入の方法により端数を整理する。)
(1) 田んぼダム協力支援金事業
農業者が田んぼダムモデル地区内での水稲作付面積に10a当たり2,000円を乗じた金額とする。
(2) 田んぼダム協力農家収入補てん事業
農業者が田んぼダムモデル地区内での水稲作付面積に10a当たり11,700円を乗じた金額とする。
(交付申請書の添付書類)
第7条 申請者は、次の各号に掲げる書類を添付しなければならい。
(1) 農作物共済に加入する場合にあっては、水稲共済加入承諾書兼共済掛金等払込通知書の写し若しくは、収入保険に加入する場合にあっては、農業経営収入保険の保険証書の写し
(2) 農作物共済(水稲)半相殺方式への加入の場合は、熊本県農業共済組合が全相殺方式に加入できないことを証する書類(様式第2号)
(3) 別記1の3に規定する算出方法(個別確認法)で当該年の収穫量が基準収穫量の9割以下と判断する場合は、田んぼダムモデル地区内での当該年の収穫量が確認できる資料の写し
(交付の決定)
第8条 町長は、交付申請書を受理し、交付を決定したときは、申請者に交付決定通知書(様式第3号)により通知するものとする。
2 前項の交付決定に際しては、関係書類等を確認して行うものとする。
3 町長は、助成金等の交付要件として必要と認める事業において、町税の滞納がある場合については、助成金等の交付を決定しないものとする。
4 助成金を交付することが不適当であると認めたときには、理由を付して不交付決定通知書(様式第4号)により通知するものとする。
(交付決定の取消し及び返納)
第9条 町長は、交付を受けた者が偽りその他不正な手段により交付を受けたときは、当該交付決定を取り消し、既に交付した助成金の全部若しくは一部を返還させることができる。
3 町長は、取消しを決定した場合において、当該取消しに係る部分に関し、既に助成金が交付されているときは、期限を定めてその返還を命ずるものとする。
4 町長は、やむを得ない事情があると認めるときは、前項の期限を延長することができる。
(延滞金)
第10条 町長は、前条の規定により助成金の返還を命じ、これを期限までに納付がなかったときは、納付期限の翌日から起算して納付の日までの日数に応じ、当該未納付額(その一部を納付した場合におけるその後の期間については、当該納付金額を控除した額)につき年10.95パーセントの割合で計算した延滞金の納付を命じることができる。
(補則)
第11条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は町長が別に定める。
附則
この要綱は、告示の日から施行する。
別記1(第4条関係)
田んぼダム協力農家収入補てん事業の判断基準について
1 収穫量が基準収穫量の9割以下であることの判断基準
本事業は、田んぼダムモデル地区において、あくまでも田んぼダム実施が原因で当該年の水稲の収穫量が、基準収穫量より9割以下であることが確認できた場合にのみ、補てんの対象とする。
そのため、田んぼダム未実施ほ場の収穫量との比較が必要になるため、次に掲げる手法により、減収を確認する。
(1) あさぎり町のモデル地区で、減収量を確認する方法(以下、「モデル地区確認方法」という。)
(2) 各農業者で、減収量を確認する方法(以下、「個別確認方法」という。)
原則、上記(1)の手法で確認することとし、場合によって上記(1)と(2)の併用により確認する。
2 モデル地区確認法の手順について
以下の手順により町長が減収量を確認する。
(1) あらかじめ、あさぎり町が、田んぼダムモデル地区と、田んぼダムモデル地区外(以下、「慣行地区」という。)に、調査田をそれぞれ3筆以上設置する。
ただし、両地区とも調査田の3筆は、それぞれ別の農業者を選定する。
なお、調査田は、土壌条件や水管理以外の栽培条件(品種、肥培管理など)は統一する。
(2) 大雨(水深25cm以上で24時間以上の湛水)後のほ場状態を巡回確認する。
なお、湛水の確認には、水位計の活用や現地での写真撮影等により行い、その確認した証拠書類を整備しておくこと。
(3) 調査田の収穫時に平均株(平均的穂数の株)3株を、ほ場ごとに採取し、登熟歩合を確認する。
(4) 調査田のほ場ごとに収穫し、ライスセンター等の乾燥施設で籾の収穫量を確認する。
(5) 上記(3)で確認した登熟歩合を用いて、玄米収量を推定する。
(6) なお、交付申請時までに調査田の玄米収穫量が確認可能であれば、上記(3)~(5)は、省略することができる。
(7) 田んぼダムモデル地区の10a当たり平均単収と慣行地区の10a当たり平均単収を算出し比較する。
上記手法で、田んぼダムモデル地区の10a当たり平均単収が、慣行地区の10a当たり平均単収に0.9を乗じたもの以下である場合は、田んぼダムモデル地区の当該年の収穫量が基準収穫量の9割以下であると判断する。
なお、この場合は、田んぼダムモデル地区内の対象農業者全てが補てんの対象とする。
3 個別確認法の手順について
以下の手順により町長が減収量を確認する。
(1) 各農業者の10a当たり基準単収を農作物共済(水稲)で申請があった10a当たり基準単収により、田んぼダムモデル地区内の各農業者の基準収穫量を算定する。
なお、収入保険加入者の10a当たり基準単収は、あさぎり町の田んぼダムモデル地区参加農業者の10a当たり基準単収の平均とする。
(2) 大雨(水深25cm以上で24時間以上の湛水)後のほ場状態を巡回確認する。
なお、湛水の確認には、水位計の活用や現地での写真撮影等により行い、確認した証拠書類を整備しておくこと。
(3) 上記(2)により被害が見込まれると判断した場合は、各農業者の田んぼダムモデル地区内の収穫量を確認するために、各農業者がライスセンター等の乾燥施設に持ち込んだ伝票などの収穫量が確認できる資料により玄米換算のうえ確認する。
(4) 田んぼダムモデル地区の基準収穫量と、当該年の収穫量を比較する。
なお、田んぼダムモデル地区の当該年の収穫量と、田んぼダムモデル地区の基準収穫量を比較する場合に、田んぼダム実施によらない被害を出来るだけ排除するために、農林水産省が発表する球磨地域の作況指数が「100」を下回った場合は、田んぼダムモデル地区内の基準収穫量を、その比率にあわせて下方修正する。
上記手法で、各農業者の田んぼダムモデル地区の当該年の収穫量が、各農業者の田んぼダムモデル地区内の基準収穫量より1割以上減少していることが確認できれば、田んぼダムモデル地区の収穫量が基準収穫量の9割以下であると判断する。
なお、この場合は、田んぼダムモデル地区内の農業者ごとに判断することとなる。