○あさぎり町議会議員及び町長等のハラスメントの防止に関する条例

令和4年12月20日

条例第33号

前文

ハラスメントは、それを行う者の認識の有無にかかわらず、相手方の基本的人権を損ない、尊厳を傷つけ、心身に被害を与える人権侵害です。

また、町議会議員(以下「議員」という。)並びに町長、副町長及び教育長(以下「町長等」という。)におけるハラスメントが、町民サービスを低下させることは言うまでもありませんが、その事実が明らかになったときは、町民の信頼の喪失のみならず、社会的信用の失墜につながる恐れがあります。

よって、議員をはじめとする町長等は、ハラスメントがあったのではないかと疑いを待たれるような行為を起こさない、さらにハラスメントを絶対に許さないという強い認識の下、職位及び職責にかかわらず、相互に人格を尊重し、信頼し合うことで、それぞれの能力を十分に発揮させることができる環境を確保するとともに、ハラスメントの防止及び根絶に努め、町民から信頼される町政運営を目指すことを決意し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、ハラスメントの防止及び排除のための措置、ハラスメントの被害者への配慮並びにハラスメントに起因する問題の適切な対応を行うことによりすべての職員が個人としての尊厳を尊重され、快適に働くことができる職場環境を確立することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ハラスメント パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメント、モラル・ハラスメント、ジェンダー・ハラスメント及びその他のハラスメントをいう。

(2) パワー・ハラスメント 次に掲げるものをいう。

 町長等及び議員の侮辱的な言動又は乱暴な言動(暴行、暴言(風説の流布を含む。)その他本来の業務を達成する目的の範囲を超えて人格及び尊厳を侵害する言動をいう。)により、職員の就業環境が侵害され、又は職員を身体的若しくは精神的に傷つけるもの

 正当な理由なく勤務条件に不利益を与える行為により雇用不安を与えるもの

 職員の能力の発揮を阻害するほどの叱責又は指導により、職員の就労意欲を極端に低下させるもの

 不要な業務、合理性のない業務、遂行が不可能な業務その他正当な理由のない業務を命ずるもの

(3) セクシュアル・ハラスメント 次に掲げるものをいう。

 性的な事実関係を尋ねるもの

 性的な内容の情報を意図的に流布するもの

 性的な内容の発言及び性的な関係を強要するもの

 必要なく他人の身体に触れるもの

 わいせつな図画を配布し又は掲示するもの

 からまでに掲げるもののほか、性的な言動により職員の個人としての人格及び尊厳を不当に傷つけ、勤務条件に不利益を与え、又は就業環境を害するもの

(4) マタニティ・ハラスメント 職員の妊娠、出産及び育児並びに介護に関する制度又は措置の利用に関する言動により職員の就業環境を害するもの、並びに妊娠、出産及び育児並びに介護に関する言動により女性職員の就業環境を害するもの(業務分担 安全配慮等業務上の必要性に基づくものを除く。)をいう。

(5) モラル・ハラスメント 町長等及び議員が職員に対して言動、態度、身振り、文書等により、繰り返し、人格や尊厳を傷つけ、又は精神的に損傷を与えるものをいう。

(6) ジェンダー・ハラスメント 性別により区別し、職員に対してその意思に反する言動を強制し、又はその人格と尊厳を侵害する言動を行うこと等により、当該職員に精神的又は身体的な苦痛を与える行為をいう。

(7) その他のハラスメント 前各号に掲げるもののほか、職場において、他者に対する言動が、本人の意図に関係なく、相手を不快にさせ、尊厳を傷つけ、不利益を与え、又は脅威を与えるものをいう。

(8) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職及び再任用職員、任期付職員、臨時的任用職員、会計年度任用職員等を含む、あさぎり町の業務に従事する全ての職員をいう。

(9) 管理監督者 課長職及び課長補佐職並びにこれらに相当する職にある職員をいう。

(10) ハラスメントに起因する問題 ハラスメントに起因して、安全で良好な職場環境が侵害され、又は職員が損害若しくは不利益を受けることをいう。

(町長等及び議員の責務)

第3条 町長等及び議長は、職員がその能力を十分に発揮できるような勤務状況を確保するため、ハラスメントの防止及び排除並びに被害者への配慮に努めるとともに、ハラスメントに起因する問題が生じた場合は、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

2 町長等及び議長は、ハラスメントに関する相談及び苦情の申出(以下「相談・苦情」という。)、相談・苦情に係る調査への協力その他ハラスメントに対する職員の対応に起因して、当該職員が職場において不利益を受けることがないよう配慮しなければならない。

3 町長等及び議員は、町政に携わる権能と責務を深く自覚し、地方自治の本旨に従って、その使命の達成に努めなければならない。

4 町長等及び議員は、ハラスメントの事実があると疑われた時は、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にするよう努めなければならない。

(職員及び管理監督者の責務)

第4条 職員は、良好な勤務環境を確保するためハラスメントの防止及び排除並びに被害者への配慮に努めなければならない。

2 管理監督者は、ハラスメントに起因する問題が生じた場合は、迅速かつ適切に対処するとともに、ハラスメントに係る調査等に協力しなければならない。

(研修等)

第5条 町長及び議長は、ハラスメントの防止等を図るため、職員及び議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。

(相談窓口の設置)

第6条 町長は、職員からの相談・苦情を受け、事実関係を調査し、必要な措置を行うため、総務課にハラスメント相談窓口を設置する。

(相談員の選任)

第7条 町長及び議長は、相談・苦情を受ける者(以下「相談員」という。)として、ハラスメントに関して見識のある職員から5名を選任する。この場合において、2名以上の女性を含めるものとする。

(相談・苦情の処理)

第8条 相談員及び管理監督者(以下「相談員等」という。)は、相談・苦情を行った職員(以下「相談者」という。)の同意を得て速やかかに総務課長に報告するとともに、総務課長と連携して相談者から事情の聴取を行う等の必要な調査を行い、当該問題を迅速かつ適切に解決する様に努めるものとする。

2 相談者は、相談員等に相談・苦情を行うほか、相談員等に対してハラスメント第三者調査委員会(以下「調査委員会」という。)での処理を求めることができる。

3 相談員等又は総務課長は、事案の内容、状況等から調査委員会で処理することが適当と判断したときは、調査委員会にその処理を依頼するものとする。

(ハラスメント第三者調査委員会)

第9条 町長は、ハラスメントに関する苦情を調査審議し、公平な処理に当たるため、調査委員会を設置する。

2 委員会は、次に掲げる事項を所掌する。

(1) ハラスメントに係る事実関係の調査及び検証に関すること

(2) その他ハラスメントに関し、町長が必要と認める事項に関すること

3 委員は、町長と議長が選考し、町長が委嘱する次に掲げる委員4名をもって組織する。

(1) 弁護士

(2) ハラスメントに関して識見を有する者

4 委員は、公平かつ公正にその職務を遂行しなければならない。

5 委員会は、調査審議に当たり、必要に応じて町長等、議員、職員その他苦情・相談に関するものに対して聴取、又は資料の提出を求めることができる。

6 委員会は、調査及び検証審議を終えたときはその結果をまとめ、町長及び議長に報告するものとする。

7 前各項に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(対応措置)

第10条 町長及び議長は、事実関係に公正な調査によりハラスメントの事案が確認された場合は、次に定める内容を行う。

(1) 町長等又は議員 公表

2 町長及び議長は、ハラスメントに関する相談件数等を年に一度公表するものとする。

(プライバシーの保護)

第11条 職員、相談員及び委員会の委員は、相談・苦情に係る職員及び当事者のプライバシーの保護を徹底し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(不当な取り扱いの禁止)

第12条 町長等及び議長は、職員がハラスメントに関する相談等を申し出たことを理由として、当該職員に対し不利益な取り扱いをしてはならない。

(委任)

第13条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、規則で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

あさぎり町議会議員及び町長等のハラスメントの防止に関する条例

令和4年12月20日 条例第33号

(令和4年12月20日施行)