山や草むらでの野外活動の際には、マダニに注意しましょう‼
春から秋にかけてキャンプ、ハイキング、農作業など、山や草むらで活動する機会が多くなる季節です。野山に生息するダニに咬まれることで感染症を起こすことがあります。病気を正しく知って、感染症から身を守るために、適切な予防と行動をすることが大切です。
■どんな病気?
・ダニに咬まれることで起きる感染症はリッチケアウイルスという病原体を保有するダニなどに咬まれれることにより起きる感染症です。
・平成23年に世界で初めて特定された新しいウイルス(SFTSウイルス)を保有する「マダニ」に咬まれることによって引き起こされる「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」や、リッチケアや細菌などの病原体を保有する「マダニ」に咬まれることで感染する「日本紅斑病」「ライム病」「回帰熱」また「つつが虫」に刺されることにことによって感染する「つつが虫病」などが主な病気です。いづれも、すべてのマダニやつつが虫が病原体を持っているわけではありませんが、ダニなどに咬まれないための注意が必要です。

■どんな症状?
- ・重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)
ダニに咬まれてから6日~2週間程度で、原因不明の発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が中心です。時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)など様々な症状を引き起こします。重症化し、死亡することもあります。
- ・日本紅斑熱・つつが虫病
ダニに咬まれてから、日本紅斑熱は2~8日後に、つつが虫病は10~14日後に、高熱、発疹、刺し口(ダニに刺された部分は赤く腫れ、中心部がかさぶたになる)が特徴的な症状です。紅斑は高熱とともに四肢や体幹部に拡がっていきます。紅斑は痒くなったり、痛くなったりすることはありません。治療が遅れれば重症化や死亡する場合もあります。
- ・ライム病
ダニに咬まれてから、1~3週間後に咬まれた部分を中心に特徴的な遊走性の紅斑がみられます。また、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ様症状を伴うこともあります。症状が進むと病原体が全身性に拡がり、皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が見られます。
- ・マダニ媒介性の回帰熱
ダニに咬まれてから、12~16 日程度(平均15 日)に 発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、関節痛、全身の倦怠感などの風邪のような症状が主で、時に、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸不全、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)が現れます。
いずれの疾患も、症状には個人差があり、ダニに咬まれたことに気がついていなかったり、刺し口が見つからなかったりする場合も多くあります。見た目だけでの診断が困難です。また見つけた場合も無理に引き抜こうとせず、医療機関(皮膚科など)で処置(マダニの除去、洗浄など)をしてもらいましょう。
マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けて下さい。治療が遅れれば重症化や死亡する場合もありますので、早めに医療機関に相談しましょう。
受診時には、
○月○日、野山に行った
○月○日、草むらで作業した
あの時、ダニに刺されたかもしれない
など日付け、場所、発症前の行動(2週間程度)を伝えましょう。
■予防するには
予防するためのワクチン等はありません。ダニに刺されないようにするのが予防法です。マダニやつつが虫は木の葉や草むらの土の表面に生息していますので
・肌の露出を少なくする ⇒ 帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等
・長袖・長ズボン・登山用スパッツ等を着用する ⇒ シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中
・足を完全に覆う靴を履く ⇒ サンダル等は避ける
・草の上に直接座ったり、寝転んだりしない。敷物を利用する。
・脱いだ上着やタオルは、不要意に地面や草の上に置かない。
・虫よけスプレーを活用する。
- ・上着や作業着は家の中に持ち込まないようにしましょう
- ・屋外活動後は入浴し、マダニに咬まれていないか確認をしましょう特に、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、頭部(髪の毛の中)などに注意
【参考】
・熊本県ホームページ「熊本県内でのマダニ類媒介感染症の発生状況」
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_19754.html
・「ダニ媒介感染症」(啓発ポスター、リーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164495.html
・「ダニ媒介脳炎について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133077.html