須恵上手観音堂の木造聖観音立像
このお話は、広報あさぎりに連載中の「あさぎり面白ばなし」を再掲載したものです。
旧須恵村役場の南、球磨川近くにある上手観音堂は、相良三十三観音霊場の第二十二番札所で、秋の彼岸には巡礼客で賑わいをみせています。お堂をよく見ますと、巨岩の上に建てられているのがわかります。そのことから、別名を「岩立観音」とも呼ばれています。このお堂のご本尊は、高さ43センチメートルの木造聖観音菩薩立像で、目は玉眼をはめ、桧の寄木造りで、江戸時代に彫作されたものと推定され、あさぎり町有形文化財(彫刻)に指定されています。
さて、話は変わって、平成15年10月、免田駅構内にあるポッポー館で、あさぎり町内の相良三十三観音7箇所のご本尊さまを一同に集めた「熊本県民文化祭」の展示会が実施されましたが、その展示作業でのこと。上手観音堂のご本尊さまを堂から移動させるため持ち上げようした時のことでしたが、なんとご本尊を支えている小さな台座が崩れてくるではありませんか。原因は台座の継ぎ手部分に使用されていた接着剤の「にかわ」が古くなり用を足さなくなっていたのでした。これでは、全てを運ぶことできないので、とりあえず、台座とそれに差し込んでいる光背はそのままにして、ご本尊だけをポッポー館に運んだのでした。「指定文化財が傷んでいる、修理が必要だなあ」そう感じて、よくよくご本尊さまを観察したところ、右手肘先がなくなり、左手にあるべき蓮華もなく、さらに、ご本尊表面の漆箔がはがれ、補修された時に厚塗りされていて彫刻の線が見えなくなっていました。その後、専門家に視ていだだき、見積書をとって、ご本尊の管理者と協議をしまして、幸いにして平成16年度あさぎり町文化財修理補助金事業で修理することになり、修理を担当する仏師には、福岡県二丈町で活動されている浦叡学氏に依頼することになりました。
あさぎり面白ばなし10 広報あさぎりNo.38
(文責 あさぎり町教育委員会 北川賢次郎)
カテゴリ内 他の記事
- 2023年10月30日 麓城跡、谷水薬師への通行・紅葉状況について
- 2019年10月10日 眼の神 宿る 寅御前
- 2018年9月26日 健康ウォーキング(健康推進課・教育課)
- 2018年9月8日 植深田観音
- 2018年9月7日 秋時観音堂の改修が行われました(教育課)