上村の私雨(わたくしあめ)
更新日:2008年10月8日
このお話は、「広報あさぎり」に連載されている「あさぎり面白話」の再掲載です。
あさぎり町上南上永里の川久保というところに「雲羽(くもんは)神社」があります。その地には、雷さまにまつわる面白い言い伝えがあります。今回はそれを紹介しましょう。
そのむかし、上村の「くもんは(雲羽)」というところで、雷さまが空でつっこけられて、地上に落ちてこられました。その雷さまはなかなか空へは戻れずにいましたら、近所のどこかの婆さまがやってきて、「やんもこ(荷い棒)を立てて、これであがりたもれ」と教えたそうです。雷さまはこれでようやく帰ることができるようになりました。そして、雷さまは、婆さまに「お礼は何がよいか」と言われたので、婆さまは、「わたくしにゃ雨たもれ」と言われたそうです。
それからというもの白髪岳に雲が掛かり雨が降ると湯前にも雨が降ってくるようになりました。どうして湯前かといいますと、その婆さまは、湯前の生まれで、そこからこの地に嫁に入って来られたということです。それで、湯前では、白髪岳に雨がかかれば、これを「上村の私雨(わたくしあめ)」と言ってありがたく思い、この話がまだ残っているそうですが、いつのころか上村では聞かれなくなったといいます。白髪岳によく雨が降るのはこのことに由来するのでしょう。
あさぎり面白ばなし1 広報あさぎりNo.29より
(文責:あさぎり町教育委員会社会教育班 北川)
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